カラ兄弟
第四 叛逆
ここでイワンは報われない子供の苦しみについて語るわけですが、ふと今回思ったのは、この子供というのはドストさん自身、特に「父の罪を贖わされる子」としての自分を書いたものなのかなあと。
父が領地の人たちに殺されたという知らせを受けてから、ドストさんの一生の病、てんかん発作が始まったと言われています。当時フロイトくんに、典型的なエディプス・コンプレックスの発症例、みたいに言われたみたいですが、まあ確かに、父殺しの願望がかなった瞬間でもあり、それに対する強烈な自罰意識がてんかんをひき起こすと考えていいのでしょう。
同時に、なぜ父は殺されなければならなかったのか、父自身に要因があったのだ、という思いももちろんあったろうし、父の死の知らせを受けて以来、自分が味わうことになる苦しみを、父の罪と重ねて見ることもあったろうなと思うんです。僕がこんなに苦しいのは、父の罪の代価を支払っているからなんだ、ドストさんはそんな風に思っていたのはないでしょうか。
で、もし子供までが同じように地上で恐ろしい苦しみを受けるとすれば、それはもちろん自分の父親の身代わりだ、智慧の実を食べた父親の代わりに罰しられるのだ――が、これはあの世の人の考え方であって、この地上に住む人間の心には不可解だ。(P58)
人間同志の間における罪悪の連帯関係は、僕も認める。しかし、子供との間に連帯関係があるとは思えない。もし子供も父のあらゆる悪行に対して、父と連帯の関係があるというのが真実ならば、この真理はあの世に属するもので、僕なんかにはわからない(P71)ともにイワンのせりふより
そしてまた思ったのでしょうね、冗談じゃねえ、何で俺が父の代わりに苦しまなければならないんだって。その不条理は何なんだって。
