2005-11-24

村上春樹編 バースデイ・ストーリーズ

 たぶんこちらが初めての村上翻訳本です。どういうきっかけで買ったのか、覚えてません。しかしかなり面白く読めました。
「ダンダン」「ティモシーの誕生日」「皮膚のない皇帝」「慈悲の天使、怒りの天使」「風呂」が好きです。

 ダンダン、超しびれましたね。(しびれすぎて『僕の恋、僕の傘』にいった)どこまでも続く荒野、行き場のない僕らとやり場のない思い。クライストは来たけれど、やっぱり僕らは救われなかった。 ともかく悲しい話です。そしてラストの一行に「うーん」
 感心、というのでもないですが、訳がすごいなあと思いました。基本的に一人称「俺」の方が物語にしっくりくるかなと思いますが(柴田訳では「俺」で、すんなり読めたし)、村上訳では「僕」。そしてラスト一行のこの口調(イノセンスということなんだろうな) 短いながらもぐっさり切り込んでくる話です。

 ティモシーの誕生日、こちらも薄暗い話です。変にハッピーハッピーな話より、こういう話の方が私にとって真実味がある、と思います。だから何度も読んでしまう。しかし暗いよなあ。

 慈悲の天使、怒りの天使、でもたまにはこういうのもいいですよね。嘘ばかりつく孤独な老女、こんな風にはなりたくないけど、みんなこんな風になっていくんですよ、きっと。

 皮膚のない皇帝は単純に面白いなあという感じです。

2005-11-11

レイモンド・カーヴァー Carver’s Dozen

 ダズン、「村上の翻訳本は読まん!」と突っ張っていた私ですがとうとう読みました。 きっかけは『翻訳夜話』。その中でカーヴァーの「収集」を読んだことです。 この奇妙な話しはなんだ?そんな興味からです。 それとバースデイ・ストーリーズも先に読んだはず。 「風呂」はその後、救済の話しに発展していく、という記述を読んで、こりゃ読まなきゃなーと。
「小さな良きもの」「カテドラル」「サマー・スティルヘッド」「足もとに流れる深い川」「でぶ」「レモネード」が特に好きです。(もちろん収集も)

・小さな良きもの(なんか「ささやかだけど、役に立つこと」って訳があんまり好きではない)
 号泣しました。それが救いなのかどうかも、私にはよく分かりません。これだけの深い傷を負って、それでも生きていかなくてはいけないのなら、生きてる意味なんてない、そうも思います。けれど、どんなに深い喪失の後にも、暖かいパンがあって、それでしか人間は救われない。悲しいけれど、そうやって生きていくんだなと感じました。
 それと読了後に、偶然にも自分が大学を卒業するにあたって、知人からこんなことを言われました。「あなたは小さなことに喜びを見つけ出せる人だから、これから先もきっと大丈夫やで」 つまりは、長い人生を生き抜くには、小さな良きものたちをどれだけ見つけ出せるかにかかっている、あなたは大丈夫、と言われたのです。いやあ泣いたなあ。

・カテドラル(大聖堂)
 これも泣きましたね。押さえた調子で語られる、理解ということ。

・夏ニジマス
 これは逆に、こういう些細なことから人は傷ついていくんだなー、という話。そんな傷を持ちながら生きていくと言う話。

・足もとに流れる深い川
 えー、じゃあ結婚しても救われないんだ・・・と言う話。

・でぶ
 どちらかというと私もマイノリティーだから、こういう話が好きなんですよね。かなり胸に迫る話だった。

2005-11-01

最近読んだ本(掲示板から再録)

 最近(ここ二年。笑)読んだ本

『カーヴァーズ・ダズン』 レイモンド・カーヴァー著
『バースデイ・ストーリーズ』 村上春樹編
『僕の恋、僕の傘』 柴田元幸編
(『Jesus' Son』 Denes Johnson著)
『こんな夜更けにバナナかよ』 渡辺一史著
『アフター・ダーク』 村上春樹著
『東京奇譚集』 村上春樹著
『対話で探る「新しい科学」』 河合隼雄著
『Sudden Fiction 2』 ロバート・シャパード編